挨拶

一般社団法人安城市交響楽団代表 坂田成夫

「人生の特別な一瞬」

詩人の長田 弘さんに「人生の特別な一瞬」という著書があります。
「人生には特別の一瞬がある、あのときだったのだのだと、ずっとあとになってから、鮮やかに思い出させる一瞬がある。夕暮れに鳥とぶ川、砂州の広がる川、岸辺の大きな木の影をうつす川、水底に空の色、雲の色を沈めているような川、どんなにありふれた景色であっても、人生の景色のなかには、ふだんは忘れている小さな真実がひそんでいる。」
この本にはいろいろな風景、時間が登場します。川の流れ、夕日の沈む一瞬、季節によって変わる雑木林の淡い色、雨の日の静かな時間、水の中に浮かぶ空、橋からみた電車の線路、美術館などでのゆったりした時間、人間にはそうした時間が必要であると長田さんは指摘し、その風景にたちどまり、じっと見つめ、そして時間を過ごし、その瞬間を詩で表現しています。
12月25日の「第6回定期演奏会」も団員の皆さん、ゲストで出演していただいたプロアマの皆さん、トレーナーの先生方、サポーターの皆さん、そして駆けつけてきていただいたたくさんのお客様たちのおかげで無事終えることができました。関係したすべての皆さんに心から感謝しています。そして関係した皆さんにとって「第6回演奏会」が後日、「人生の特別の一瞬」になるであろうことを祈念します。
一人一人の「人生の特別な一瞬」の豊かな蓄えが争いのない豊かな社会を創っていくと考えています。「オーケストラという文化」があるまちを私たちはめざしています。ぜひ応援ください。
今年の演奏会は7月と12月です。一緒に演奏いただける団員の皆様、裏方を担当していただけるサポーターの皆様も募集しています。是非、参加ください。

一般社団法人安城市交響楽団副代表 鈴木俊也

ダニエル・バレンボイムという世界的に著名な指揮者・ピアニストがいます。現在音楽界で最高の巨匠としてベルリン国立歌劇場音楽総監督などを務めている彼が、1999年にあるオーケストラを立ち上げました。「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」というそのオーケストラのメンバーは、現在でも紛争が繰り返されている中東のイスラエルやパレスチナ、アラブ諸国などの若き音楽家たちなのです。お互いに敵対し、戦争している国同士の若者が隣り合わせに座り、1台の譜面台を一緒に使い、同じ曲を演奏する。当然そこには苦悩やわだかまり、いさかいなどが多くあったそうです。しかし「彼らはもうお互いを前と同じように見ることができなかった。共通の体験を分け合ったからだ。これこそが出会いの大切さだと僕は思う」と、インタビューでバレンボイムは語っています。このオーケストラは音楽という文化を通して、「共存への架け橋」という理念を掲げ、現在でも世界中でツアー活動を続けているそうです。この話を知ったとき、音楽の持つ無限の可能性に感動を覚えました。紛争地へ出かけて行って、歌や音楽で人々を繋ごうと活動している人は今までにも何度も話を聞いたことがあります。しかし、このオーケストラは敵対する民族同士が一緒になって一つの音楽を作ろうとしているのです。この、不可能とも思える活動を可能にしたものこそ、音楽の持つ力なのだと思います。今、世界中を席巻しているコロナ禍は、いろいろな場面で人々の体だけでなく、日常の生活や心を傷つけています。このような世の中だからこそ音楽が必要なのだと、改めて強く心に思い直しました。我が楽団のメンバーも、年が明けるとすぐに第8回定期演奏会に向けての練習に取り組み始めました。いろいろな制約やどうにもならない事情など障害はいくらでもありますが、メンバー同士同じ舞台で同じ曲を演奏し、お客様と同じ音楽体験を共有することを目標に日々努力しています。どうか皆さまの心に少しでも暖かな光が灯りますように。

指揮者 服部洋樹

第7回の定期演奏会も多くのお客様にご来場いただきありがとうございました。創立から第7回までの道のりはコロナ禍により決して優しいものではありませんでしたが、一つの節目を迎えられたことを嬉しく思っております。今年は第8回、第9回の定期演奏会へ向けて活動していきます。これまで様々な曲に挑戦をしてきましたが、再びオーケストラとして更なる高みを目指すために、基礎でもあり頂点でもあるベートーヴェン、そしてドイツの作曲家たちの曲をじっくりと練習して参ります。どうぞご期待いただき、今後とも安城市交響楽団をどうぞよろしくお願いいたします。

弦楽器アドバイザー 金沢 紫

第7回の演奏会も、団員、サポーター、お客様のお力添えで無事開催できたことを感謝御礼申し上げます。まだまだ厳しい状況が続きますが、一刻も早い終息を願うばかりです。
さて第8回ではシューマンとベートーヴェン共に交響曲1番を演奏します。シューマンの交響曲第1番は「春」と呼ばれており、妻のクララと結ばれロマンチックな時期に情熱を持って作曲された作品と言われています。ベートーヴェンの第一番は彼が最初に作曲した交響曲であり、ピアノソナタ「悲愴」などと、並ぶベートーヴェン初期の代表作です。
第9回は年末らしくベートーヴェンの「第九」を演奏予定です。第九を年末に聴くというのは醍醐味でもあるわけですが、2年連続コロナもあり、開催できませんでした。3年前に初めて安城市交響楽団で演奏できたことは、今でも鮮明に覚えており、大曲ではありますが、オーケストラ、合唱と一丸となって開催できたことは大変嬉しく、達成感がありました。ぜひ今年は開催できますよう願っております。

管打楽器アドバイザー 加藤 菜月

安城市交響楽団に心を寄せてくださる皆さま、いつも応援してくださりありがとうございます。
2021年12月25日、第7回定期演奏会を無事に開催することができました。たくさんの方にご来場いただいたことを大変嬉しく感じております。新型コロナウイルス感染症対策を講じながらの演奏はやはりやりにくさを感じますが、それでも大きなホールでオーケストラとして演奏できる喜びはひとしおで、他の何にも変え難い時間でした。
音楽は、その時間に彩りを添え、人生を豊かにしてくれます。楽器を演奏する演奏家の皆さまも、クラシックを聴く愛好家の皆さまも、思う存分音楽を楽しめるーーー、安城市交響楽団がそんな存在になれたらいいなと思います。