挨拶

一般社団法人安城市交響楽団代表 坂田成夫

「人生の特別な一瞬」

詩人の長田 弘さんに「人生の特別な一瞬」という著書があります。
「人生には特別の一瞬がある、あのときだったのだのだと、ずっとあとになってから、鮮やかに思い出させる一瞬がある。夕暮れに鳥とぶ川、砂州の広がる川、岸辺の大きな木の影をうつす川、水底に空の色、雲の色を沈めているような川、どんなにありふれた景色であっても、人生の景色のなかには、ふだんは忘れている小さな真実がひそんでいる。」
この本にはいろいろな風景、時間が登場します。川の流れ、夕日の沈む一瞬、季節によって変わる雑木林の淡い色、雨の日の静かな時間、水の中に浮かぶ空、橋からみた電車の線路、美術館などでのゆったりした時間、人間にはそうした時間が必要であると長田さんは指摘し、その風景にたちどまり、じっと見つめ、そして時間を過ごし、その瞬間を詩で表現しています。
「人生の特別な一瞬」は人間にとってとても大切です。その積み重ねが豊かな人生に繋がっていくと信じています。「人生の特別な一瞬」の豊かな蓄えが豊かな社会を創り、争いのない世界を創っていくと考えます。

「第8回定期演奏会」は7月10日(日)に開催します。安城市交響楽団にとっても、聴いていただいた皆さんにとっても「人生の特別な一瞬」になるような演奏会になることを心から願っています。

一般社団法人安城市交響楽団副代表 鈴木俊也

ダニエル・バレンボイムという世界的に著名な指揮者・ピアニストがいます。現在音楽界で最高の巨匠としてベルリン国立歌劇場音楽総監督などを務めている彼が、1999年にあるオーケストラを立ち上げました。「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」というそのオーケストラのメンバーは、現在でも紛争が繰り返されている中東のイスラエルやパレスチナ、アラブ諸国などの若き音楽家たちなのです。お互いに敵対し、戦争している国同士の若者が隣り合わせに座り、1台の譜面台を一緒に使い、同じ曲を演奏する。当然そこには苦悩やわだかまり、いさかいなどが多くあったそうです。しかし「彼らはもうお互いを前と同じように見ることができなかった。共通の体験を分け合ったからだ。これこそが出会いの大切さだと僕は思う」と、インタビューでバレンボイムは語っています。このオーケストラは音楽という文化を通して、「共存への架け橋」という理念を掲げ、現在でも世界中でツアー活動を続けているそうです。この話を知ったとき、音楽の持つ無限の可能性に感動を覚えました。紛争地へ出かけて行って、歌や音楽で人々を繋ごうと活動している人は今までにも何度も話を聞いたことがあります。しかし、このオーケストラは敵対する民族同士が一緒になって一つの音楽を作ろうとしているのです。この、不可能とも思える活動を可能にしたものこそ、音楽の持つ力なのだと思います。今、世界中を席巻しているコロナ禍は、いろいろな場面で人々の体だけでなく、日常の生活や心を傷つけています。このような世の中だからこそ音楽が必要なのだと、改めて強く心に思い直しました。我が楽団のメンバーも、年が明けるとすぐに第8回定期演奏会に向けての練習に取り組み始めました。いろいろな制約やどうにもならない事情など障害はいくらでもありますが、メンバー同士同じ舞台で同じ曲を演奏し、お客様と同じ音楽体験を共有することを目標に日々努力しています。どうか皆さまの心に少しでも暖かな光が灯りますように。

指揮者 服部洋樹

第8回定期演奏会は、安城市交響楽団としては創立4年目初めての演奏会となります。これまで様々な曲に挑戦をしてきましたが今回の演奏会はどちらかというとあまり派手ではなく、堅実なものとなっております。ドイツロマン派の黎明期であるベートーヴェンとウェーバー。奏者はしっかりとした技術とロジカルな面を意識しつつも感情を表現する歌を歌うことが求められます。シューマンはロマン派を作り上げ頂点にも位置する作曲家の一人です。今回取り上げる交響曲第1番は『春』という愛称で親しまれ、(初演後にシューマン自身によって削除されてしまいましたが)4つの性格の春の情景を人間の心情にもリンクさせて作られた、まさに文学的でロマンチックな曲になっております。3曲とも勢いだけではどうにもならず、一音、一フレーズ、どんな意味があるのかと丁寧に演奏しなければいけません。もちろんお客様に楽しんでいただくことが第一なのですが、今回は交響楽団の成長のためのプログラムでもあります。今回の演奏会を通してさらに交響楽団が発展していくことをどうぞご期待ください。
[今回の見どころ]
今回の演奏会では、シューマンとベートーヴェン共に交響曲1番を演奏します。シューマンの交響曲第1番は「春」と呼ばれており、妻のクララと結ばれロマンチックな時期に情熱を持って作曲された作品と言われています。ベートーヴェンの第一番は彼が最初に作曲した交響曲であり、ピアノソナタ「悲愴」などと、並ぶベートーヴェン初期の代表作です。そしてウェーバーのクラリネット協奏曲第一番にはソリスト橋本眞介先生をお迎えします。ダブルで交響曲、そしてクラリネット協奏曲と意欲的で盛りだくさんなプログラム、是非お楽しみください。

弦楽器アドバイザー 金沢 紫

第7回の演奏会も、団員、サポーター、お客様のお力添えで無事開催できたことを感謝御礼申し上げます。まだまだ厳しい状況が続きますが、一刻も早い終息を願うばかりです。
さて第8回ではシューマンとベートーヴェン共に交響曲1番を演奏します。シューマンの交響曲第1番は「春」と呼ばれており、妻のクララと結ばれロマンチックな時期に情熱を持って作曲された作品と言われています。ベートーヴェンの第一番は彼が最初に作曲した交響曲であり、ピアノソナタ「悲愴」などと、並ぶベートーヴェン初期の代表作です。
第9回は年末らしくベートーヴェンの「第九」を演奏予定です。第九を年末に聴くというのは醍醐味でもあるわけですが、2年連続コロナもあり、開催できませんでした。3年前に初めて安城市交響楽団で演奏できたことは、今でも鮮明に覚えており、大曲ではありますが、オーケストラ、合唱と一丸となって開催できたことは大変嬉しく、達成感がありました。ぜひ今年は開催できますよう願っております。

管打楽器アドバイザー 加藤 菜月

安城市交響楽団に心を寄せてくださる皆さま、いつも応援してくださりありがとうございます。

この激動の2年半の間、音楽を愛する人の多くは、生演奏やコンサートについて改めて思いを馳せたことと思います。これまではまるで当たり前のように思えていた「仲間と一緒に演奏すること」「お客さまの前で演奏すること」が、どんなに貴重で有意義な機会だったことか。人は、それを失った時、はじめてその有り難さに気付かされるのだと痛感しました。

もうすぐ、7月10日の第8回定期演奏会の日を迎えます。私たちが抱いている演奏への熱意や、音楽を楽しむ気持ち、それをお客さまと共有できる幸せを胸に、団員一同練習に励んでいます。

是非、安城市民会館の大きなホールで、私たち 安城市交響楽団の演奏を聴いていただきたいです。